建設工事を行う際には足場は欠かせないものですが、足場には単管足場、くさび式足場(ビケ足場)、枠組足場などの種類があり、これらの足場は地面から上に向かって組み上げていきます。
一方、通常の足場とは異なり、チェーンや単管パイプ、金具等を用いて上から吊り下げて作業床を作る足場のことを吊り足場といいます。
この記事では吊り足場のメリットや組み立ての手順、設置基準などを詳しく紹介すると共に、最後に「次世代足場」と呼ばれる新しい足場を紹介します。
■吊り足場とは?
吊り足場とは上から吊り下げる形で作業床を設けるものをいいます。
ビルの建築現場での鉄骨組み立て工事や高層ビルの吹き抜けなどのメンテナンス工事、橋梁工事、プラントなど、地面の上に通常の足場を設置することが不可能な場合の高所作業における作業床として使用されます。
したがって吊り足場は通常の足場と違って、空中で水平方向に組み立てていきます。
しかし上から吊り下げるために落下事故のリスクが高く、他の足場と比較して組み立て作業の安全性が低くなるデメリットがあるといえます。
したがって設置作業の際には細心の注意が必要になる難易度が高い足場です。
そして吊り足場には次の2つの種類があります。
・吊り棚足場
工事中の鉄骨梁などから吊りチェーンを吊り材として、足場用鋼管、角型鋼管、丸太などを井桁状に組み、足場板を架け渡して作業床としたものです。
下面には安全ネットを設置して転落防止対策を行います。
主にビル建築などの鉄骨組み立て工事における鉄骨材のボルトの締め付けや溶接作業などを行うために設置されます。
また橋桁の塗装及び点検・補修工事用の足場としても数多く使用されています。
・吊り枠足場
鉄骨梁などから直接既製の吊り足場を懸垂するものです。
主に鉄骨工事の溶接作業や鉄筋の組み立て作業に用いられることが多く、あらかじめ地上で組み立てられて、ボルト、補助材などと一緒に楊重され、所定の位置にセットされます。
吊り足場は高所作業が必要になるにもかかわらず、周囲に設置スペースを確保することが難しいために通常の足場を組み立てることができない場合に重宝されます。
ここでは一般的な吊り棚足場の組み立ての手順を紹介します。
1. 組み立て前の点検
作業を開始する前に、保護具や使用工具、資材の点検をします。
そして破損の有無を確認して、不良品があったら交換を行います。
特に安全帯や手摺など安全に関わるものについては丁寧に点検を行って、異常があれば確実に正常なものに交換しておく必要があります。
2. 安全設備の取り付け
まずは親綱やスタンション(通路や開口部等で墜落の危険がある箇所に取り付ける仮設の手摺)等の安全設備を取り付けます。
スタンションの間隔は概ね10メートル以内とし、親綱は命綱をかけやすい位置に設置します。
3. 吊りチェーンと親御パイプの取り付け
吊り足場の組み立ては、吊りチェーンの取り付けから始まります。
作業時には命綱を親綱にしっかりとつなぎ、吊りチェーンの間隔は概ね1200mm程度とするのが一般的です。
基本的にはあらかじめ空けられた取付孔に設置しますが、必要に応じて専用クランプを用いて増設します。
吊りチェーンの設置が完了したら、足場板を乗せる単管パイプをチェーンにかけていきます。
最初にかけるのが親御パイプで、ジョイント部分は自在クランプで緊結して、最低2つ以上使用することが大切です。
4. ころばしパイプの取り付け
チェーンに親御パイプをかけ終わったら、親御パイプの上にころばしパイプを取り付けます。
ころばしパイプは滑りやすいため、取り付けたらすぐに親御パイプと結束する必要があります。
ころばしパイプの間隔は900mm程度になるように設置します。
5. 足場板の設置
ころばしパイプの取り付けが終わったら、その上に足場板を敷き詰めていきます。
足場に段差ができないように、足場板は端部を重ねることなく突き合わせ継手とします。
また足場板の端部のはね出しは、100~200mmの範囲内で設置します。
そして足場板は最低でも3点支持として、安全性を確保します。
6. パイプの取り付け(手摺兼用)
建てパイプの間隔は1800mm程度として最下段の布パイプ(建地に直角に使われる水平部材)の取り付け高は作業床から1メートル以内とし、必要に応じて中桟(横木)を取り付けます。
7. 落下防止網(安全ネット)の取り付け
最後に落下防止網(安全ネット)を取り付けます。
その際には落下防止網の継手部分が引っ張り力によって開かないように注意します。
また結び紐は衝撃に耐えられるように丈夫なものを使用するようにします。
尚、吊り足場は組み立てから解体までの期間が60日未満のものを除いて、所轄労働基準監督署に対して足場の設置届が必要になります。
■吊り足場のメリット
吊り足場のメリットには次のようなものがあります。
1.地上から足場を組み立てるのが困難な場所でも設置できる
吊り足場は現場や土地の形状等によって通常の足場を設置することが困難な場合でも設置することが可能です。
2.高所で横方向への広範囲の作業が中心の現場に適している
上から吊り下げる足場なので、横方向への広範囲な作業が可能になります。
3.工期短縮が可能になる
移動床を設置して延長しながら足場をつくることができるので、工期短縮が可能になります。
4.安全性が確保できる
設置する際には危険が伴う恐れがありますが、設置後には手摺の内側で作業することができるようになるので、工事中の安全性を確保することができます。
■最後に
足場には数多くの種類があり、目的や現場の状況にあわせて最適な足場を選択することが大切です。
ANZENではシンニッタン社製の吊り足場を採用している事で安全性や作業効率を高める足場工事を行なっております。
これまで多くの実績もありますので、もし吊り足場を出来る業者をお探しの際はぜひANZENにご相談ください!
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