皆さんこんにちは。長野県上田市を拠点に、県内全域で足場工事や仮設工事などを手掛けている株式会社ANZENです。
建設業界には、独自の専門用語が多く、初めて聞いた人は何をさしているのか分からず戸惑うことが多いものです。建設業界で仕事をする際には、安全に作業を進めるため専門用語について理解しておかなくてはいけません。
今回は、弊社が取り扱っている足場工事の現場で多く聞かれる専門用語のひとつ「建地」についてご紹介します。
■建地とは?
建地とは、足場の一部として地面に垂直に立てられた支柱をさします。建地と柱・支柱は、どれも同じものを意味していますが、部材として呼ぶときには柱・支柱と呼び、足場の構造の一部を意味するときは建地と呼びます。
建地は、足場全体を支える基礎部分であり、建地に布や腕木などを取り付けて足場を組み立てていきます。足場が斜めにならないよう、建地は必ず地面に対して垂直に立てなくてはいけません。
・建地を使って組み立てる足場の種類
足場の種類には、単管足場・枠組足場・くさび緊結式足場などがありますが、どれも建地なしでは建てられません。それぞれの足場の種類について解説します。
① 単管足場
1本の建地を持つ足場であり、住宅街における戸建住宅工事などの狭い現場でも、比較的簡単に設置できる足場です。単管(鉄パイプ)とつなぎとめの金具を組み合わせて建てるため、強度や安全面については他の足場よりも劣り、低層の建物の作業に適しています。
単管足場には31m以下の高さ制限が設けられており、建地の高さが31m以上になる場合は、建地を2本にする必要があります。ただし、強度が確保できれば2本にしなくとも問題ありません。
② 枠組足場
建地が2本ある足場で、最も一般的に使われています。15階建て(45m)までの高層建築物に使用でき、建築工事だけでなく橋梁工事の現場でも用いられる足場です。
ジャッキや筋交いなどを使って組み立てるため安全性が高く、組み立て時に騒音も少ない一方で、設置場所や搬入路・部材置き場などに十分なスペースが必要です。
③ くさび緊結式足場
一定間隔に緊結部を設けた鋼管(鉄パイプ)を建地とし、ハンマーを使ってくさび部分をコマに打ち込む構造の足場です。軽量かつ組み立てが簡単で、輸送費も大幅にカットできます。
建地を2本使うと、枠組足場同様45mの高さまで使用可能ですが、広い設置場所が必要となる点に注意が必要です。
■建地を設置する手順
安全に建地を設置するために、以下の手順で設置作業を進めます。
①地盤調査
②建地の垂直確認
③緊結
④水平確認
⑤仮固定
⑥ブラケットの取り付け
⑦手すりの取り付け
⑧建地の垂直、水平、緊結状況などを最終確認
地盤調査は、建物を建てる前に地盤の状況を確認する調査です。地盤調査を行わずに建地を建てると、足場全体が斜めになってしまい大変危険です。
毎日の作業の開始前に足場の点検を行い、異常を発見したときにはすぐに補修を行います。これに加え、大雨や強風などの悪天候や地震が発生した場合は、建地の緊結部・接続部・取り付け部のゆるみや損傷の有無を確認し、点検事項の記録は足場の解体まで保存することが定められています。(https://www.kensaibou.or.jp/safe_tech/leaflet/files/20100720ashiba_senko.pdf)
■建地は補強が必要!
ここまで解説したように、建地は足場を支える役割をしています。建地がゆがむと足場全体のゆがみにつながり、ひいては倒壊などの事故を引き起こしかねません。建造物の高さに合わせて建地を高くするにも、建地の補強が必要です。
労働安全衛生規則では、単管足場で31m・枠組足場で45mを超える場合に、建地を2本にして補強すると定められています。ただし、設計荷重の範囲内で強度が確保できれば、2本にしなくとも問題ありません。
設計荷重は、足場の重量に相当する荷重と、作業床の最大積載荷重を足した数値であり、メッシュシートや防護柵などの重量も含まれるため、計算時に注意しましょう。
・補強の方法
ここでは、建地を補強する方法を3つご紹介します。
1. 控えの設置
足場の「控え」とは、「やらず」とも呼ばれるものであり、地面から建地の外側へ斜めに入れるつっかえ棒をさします。建地を補強するのに、足場を壁などに固定する「壁つなぎ」という方法がありますが、壁つなぎが困難な現場で補強をするために設置します。
控えとして設置するのは、長さが4.5mの鋼管用足場が一般的であり、控えの補強効果を高めるには、できるだけ高い位置への設置が必要です。控え・建地・地面の3面で直角三角形が形成できるように設置し、控えと地面の傾きはおおよそ60度になります。控えを使って建地を補強することで、足場の倒壊防止につながります。
2. 斜めのブレースの設置
ブレースとは、筋交いもしくは筋違いとも呼ばれる部材で、支柱と支柱の間に斜めに入れることで足場を補強するものです。長方形の構造体の対角線上にブレースを設置すると、構造体の変形を防ぐ効果があります。特に、足場におけるブレースの役割は大きく、ブレースを入れないと大きな横揺れを起こしてしまいます。
ブレースの設置によって構造体の横揺れを防ぎ、作業を安全に行えるようになります。
3. アンカー・壁つなぎの設置
足場に必要不可欠なアンカー(アンカーボルト)とは、足場を固定するためにコンクリートに埋め込むボルトです。足場の種類や現場の状況によって、多彩な種類のアンカーから適切なものを使用します。アンカーの打ち込み方法には、コンクリートの打設時に固定する埋め込み式と、地面や壁にアンカーを直接打ち込む打ち込み式があります。
アンカーとともに使用されるケースが多いのが壁つなぎです。壁つなぎは、足場を壁などに固定し、倒壊や変形を防ぐための作業であり、前述した控えとともに労働安全衛生法で設置が義務付けられています。壁つなぎの設置基準は、国で定められた標準基準のほかに、風が強く吹いていて荷重が大きいケースや、躯体側に制約があるケース、住宅工事のケースと計4つがあります。
■足場作業に役立つ豆知識
建地は、建造物の高さに合わせて上に伸ばし、補強しなくてはいけません。このため、建築業界では足場を高くするときに「建地を高くする」とは言わず、「建地を伸ばす」との表現方法を用います。業界特有の表現方法ですので、覚えておくと役立つでしょう。
また、足場作業で多く聞かれる用語のひとつに、「朝顔」があります。もちろん、夏に咲く花のことではなく、落下事故防止のため足場の側面に斜めに取り付ける防護柵です。
ほかにも、建築現場では特有の用語が多数使われているため、ひとつずつ着実に覚えていきましょう。
株式会社ANZENは、創業以来安全第一の理念のもとで高品質な足場工事を提供し続けています。
高所作業となる足場工事は、危険な印象を持つ方が多いのですが、2024年4月に労働安全衛生法が改正され、高さ2m以上の高所作業において本足場の使用が義務化されました。この改正を機に、株式会社ANZENは安全性の高い工事を引き続き施工できるよう、さらなる取り組みを強化しています。
また、社員一人ひとりの意識を高め安全な作業が行えるよう、社員の声を意見として積極的に取り入れ、課題や改善点の解決に努めています。社員が働きやすいと感じ、長く続けられるよう労働環境を整えるとともに、月給制で給与をお支払いしているのも弊社の大きな特徴です。
足場工事の仕事にチャレンジしてみたい・興味があるなどと考えている方は、株式会社ANZENで働いてみませんか。お問い合わせをお待ちしております。