本足場義務化で建設現場の安全性が向上!変更点は?工事代金に影響する?

皆さんこんにちは。長野県上田市を拠点に、県内全域で足場工事や仮設工事などを手掛けている株式会社ANZENです。


厚生労働省は2024年4月1日から労働安全衛生規則を改正し、本足場を義務化することで足場からの墜落防止措置を強化しました。


これにより、今後は一側足場で足りていた現場でも、特別な事情がある場合を除いて、原則として本足場を設置することとなります。


法令の改正を受けて、建設業界では足場の設置や点検の方法が変わったり、工事代金や工期が変わったりして混乱が生じています。この改正は足場の施工業者だけでなく、実際に足場を使用する発注者側も、内容を理解しておくことが大切です。


そこでこの記事では、墜落防止措置としての本足場義務化について、法令が改正された背景から、本足場義務化によるメリットを解説していきます。




■本足場義務化の背景とメリット



本足場が義務化された背景には、建設現場における墜落事故の多さが挙げられます。一側足場よりも安全な本足場を設置することで、墜落・転落災害を少しでも減らすことが目的です。


建設業界の労働災害は長期的にみると減少していますが、現在でも年間300人ほどの方が亡くなっています。その中で、墜落・転落事故によるものは全体の約4割を占め、足場での作業時が最も多い状況です。


小規模工事で多く使われてきた一側足場は、本足場よりも部材が少ないために、コストを安く抑えられるものです。しかし、その分安全性が低く、手すりの設置も義務付けられていません。

現場によっては、本足場の設置が可能であるにも関わらず、コストや手間が増えるといった理由から、簡易的な足場で済ませているケースもありました。これらは手すりなどの安全設備を省いていたために、事故につながったと考えられています。


本足場の義務化は、建設業界が長年課題としてきた墜落事故の防止と、建設現場の安全性の向上につながる対策です。




■本足場の義務化の主な変更点



今回の労働安全衛生規則の改正により、本足場が義務化されたことで変更になった点は、以下3点です。



①一側足場の使用範囲が明確化された

これまで一側足場は狭いスペースなどで多く使用されてきましたが、その使用範囲は明確化されていませんでした。


今回の改正により本足場が義務化されたことで「建築物の外面から幅1m以上確保できる場所」においては原則として本足場を設置することとし、一側足場は使用できなくなります。


ただし、本足場を組めない狭い場所や障害物がある場所では、一側足場の使用も認められています。例えば、足場を設置する場所に撤去できない障害物や出窓があり、本足場で使われる2本の建地(支柱)を設置できないときなどです。


一側足場であれば建地が一列で済むため、近接した狭いスペースでも設置しやすく、コストも安く抑えられます。しかし、手すりなどの安全設備の設置が難しく、転落事故が発生するリスクも高いことから、使用範囲の明確化に至りました。



②点検者を指名することになった

足場の点検はこれまでも行われてきましたが、点検表をみると、常に良好と記載されていることがほとんどです。しかし実際は、幅木が外されたままで元に戻されていないなど、指摘する点がいくつかみられます。


このような状態が放置されたままでは、またいつ墜落・転落災害が起きるかわかりません。


労働安全衛生規則の改正後は、点検者をあらかじめ指名し、その人が責任をもって点検を行うこととされています。責任の所在を明らかにすることで、足場の不備などをしっかりと確認させ、形だけの点検を見直すための仕組みです。


点検のタイミングは、足場の組み立て後や一部変更があった後、毎回使用する前、悪天候時や地震の後などとなっています。毎日の作業前には、指名された点検者が点検を行うということです。この場合の点検者は、足場を組む施工業者ではありません。主に当日、足場を使用する人の中から指名されます。


指名される点検者の伝達については、事前に書面で行ったり、あらかじめ点検者の指名順を決めて、その順番を電話やメール等で伝えたり、当日の朝礼時に口頭で行ったりなどの方法がとられます。


③点検者を記録・保存することになった


足場の点検者に選ばれた人は「足場等の種類別点検チェックリスト」に名前を記録し、一定期間保存されます。


何かあった場合は責任が問われるため、しっかりとした点検が求められます。




■本足場義務化今後の展望① 工事に与える影響は?



本足場が義務化されることで、工事に与える影響とはなんでしょうか。これにはメリットとデメリットがあります。



・本足場義務化が工事に与えるメリット

本足場義務化によるメリットは、なんといっても安全性の向上です。


これまで一側足場だった現場が本足場になれば、作業床は広くなり、手すりなども設置できて墜落防止措置の強化につながります。作業スペースが広くなれば、効率よく作業を進められるでしょう。足場からの物の飛来・落下防止にもなります。



・本足場義務化が工事に与えるデメリット

本足場義務化が工事に与えるデメリットは、工事費用と工期の増加です。


本足場は一側足場よりも多くの材料を必要とし、設置にも時間がかかることから、工事費用と工期は間違いなく増加します。近年の材料費高騰に加え、足場に必要な材料も増えれば、それに伴いトラックの台数も増え、職人の手間も増えるのは必然です。


足場の施工業者としては、足場の設置に時間がかかれば1日に回れる現場も減るため、今まで通りの単価では採算が合わなくなります。よって、単価を上げるのは致し方ありません。


もしも、本足場の義務化後も料金据え置きをうたう業者があれば、何かあるのではないかと疑うべきです。単価が安いからと技術がない業者へ流れてしまう懸念があります。


新しい仕組みが浸透するまでには時間がかかるかもしれませんが、建設業界全体で理解を深め、お客様へ広げていくことが大切です。




■本足場義務化今後の展望② 足場職人が受けるメリットは?



本足場義務化により、足場職人が受けるメリットは、現場の安全性が向上することで働きやすい環境になることです。


労働安全衛生規則の改正後は、これまで手すりなどの墜落防止措置が十分に講じられていなかった高所作業でも、本足場の使用が義務付けられます。


今回の本足場義務化を機に、足場の安全に関する知識や技術はますます向上するでしょう。足場を設置する業者や、作業を行う労働者の安全意識も高まることで、転落事故の予防につながると期待されています。




■本足場義務化に伴うお悩みは株式会社ANZENへ!



株式会社ANZENは、創業以来、安全第一の理念のもと、高品質な足場工事を提供してきました。

2024年4月からは労働安全衛生法の改正により、建築物から幅1m以上ある場所においては本足場の使用が義務化されます。株式会社ANZENでは、この改正を機に、さらなる安全性の向上に向けた取り組みを強化していく所存です。


また、株式会社ANZENでは、足場職人として一緒に働いてくれる仲間を募集しています。


年間休日数105日・残業代を1分単位で支給・資格取得全額会社負担など、さまざまな福利厚生を用意して、社員が働きやすい環境づくりに取り組んでいます。どんな仕事でも、慣れるまでは体力・精神力共に疲れが溜まりやすくなります。建設業界であっても、しっかりと休みを取り、しっかりと稼げる環境が必要です。


株式会社ANZENは、安全意識の向上を図るため、社員一人ひとりの声を大切にしています。現場で感じた課題や改善点を、積極的に意見として取り入れることで、より安全な職場づくりに努めてきました。株式会社ANZENは、思ったことをすぐに言葉にできる会社です。


足場職人として働きたい方はぜひ、株式会社ANZENへお気軽にご応募ください。